【シリーズ第2回水の蒸発気化熱の凄さ】
【シリーズ第2回水の蒸発気化熱の凄さ】
部屋を冷やすためには,
どれくらいの水の気化が必要か; 気化熱の計算
※FC2Blog家を建てる「気化熱の計算」より
水の気化熱は 40.8 kJ/mol = 40800 J/mol
水の分子量は18なので1molは18g
40800/18 = 2266.7 J/g
空気の比熱は 1005J/(kgK)
空気の密度は 1.293 kg/m3
1畳の面積は 0.91*1.82 = 1.6562 m2
部屋の高さは 2.4m
6畳間の体積は 1.6562*6*2.4 = 23.85 m3
6畳の空気の重さ 1.293*23.85 = 30.837
1度下げるための熱量 30991.3 J, それを気化熱に換算 13.67 g
これだけの水が蒸発すれば6畳間は1度下がる
5度下げるなら 68.36 g
シリカゲル利用の冷却器
シリカゲルの吸湿性能 35.8 % 自重に対してこれだけの水を吸える.
必要シリカゲル量 190.8 gといっても,シリカゲルを限界までつかうと再生が難しいから,余裕を持たせるべき.あと,夏は外部からどれくらいの熱が常に入り込んでいるかが必要.一般的なクーラーの性能にならってやればいい.そうすると,必要な量のシリカゲルがわかる.
※ これでは,実用化も,工業化もできない.しかし,シリカゲルを冷媒体として,球形ボールにして,これをパイプに通して,屋根上太陽光パネルで乾燥させる.こういう循環をつくれば,凄い発明となる.謂わば,【吸収式冷却塔】でやっているような,高密閉・高圧・特殊冷媒体と熱キャリヤーを使わないで,つくれる.エクセルギーハウスのコンセプト〈①自然の原理を巧みに・②エクセルギー的(ローエネ),③ローテクである〉装置機器が作れる.どうですかな.誰か,これに挑戦してみてほしいものですが,いないでしょうか.
ミストを利用した室内設置型の冷却装置設計
以下のレポートは,試行錯誤・格闘編である.
ミストを利用した室内設置型の冷却装置設計において,最も重要な指針は;
1)気化水蒸気を室内に導かないこと
2)3つの熱(E:膨張熱),(V:気化熱540cal/g)とも,利用できないか.何か巧妙な方法があるのだろうか.
3)(C:凝縮熱540cal/g) →V=Cであり,常識的には,奪った熱量で,その水蒸気が熱くなっているのであり,それを凝縮させて結露発熱させても,同じ空間であれば,差し引き0であろう.このエネルギーも使えるような,巧妙な方法はあるのかどうか.例えば,この熱で,上昇気流の促進に利用するなどである.
冷水塔クーリングタワーの場合は,原理的には最も簡単な仕組みである:
外設したタワーで,円周状に水を下に流し,それに中心部分から下向きに送風し,気化を促進させて,気化熱を奪われて冷えた水(夏場でおよそ25℃ぐらいか)を回収して,室内に持ち込み,熱交換器(フィン・ラジュエータ)で冷気にして取り出す/というものである.
これは技術的に確立した装置であり,これを小型化すれば家庭用になるのでは,と思われるが,方法原理を根本的に転換して,室内設置用でできないかどうか.これを探究してみたい.
★コンプレッサー型は,電力大容量使用となり,加えて電気→熱変換のエクセルギーが低いから,使いたくない.
ミストの利用
ミスト発生・蒸発と凝縮の過程
ミストを利用して冷房するには,どうしたらいいのだろうか.それで,先ずは,ミストの性質と過程,それに対応した技術の思い付きを考察してみる.
気化熱(=凝縮熱)について,確認しておこう.それは,おおむね標準気圧・25℃において,蒸発潜熱はおよそ540cal/g=2268J/gである.
外設機で,ミストを使って冷却する場合
相形態 分離移動熱量 分離後の熱担保状態 熱採集の方法 促進の方法
P1:(水)
↓ (E:膨張熱) 空気中ミスト冷熱 →フィン・ラジエーター
圧縮ノズル菅発熱 →送風で大気へ排出
P2:(ミスト)
↓ (V:気化熱) 気化水分子熱振動大 →気化現場から送風で排除
P3:(蒸発) 残ったミスト側は冷熱 →回収して室内熱交換器へ
↓
P4 :(凝縮)
↓ (C:凝縮熱) 水滴側潜熱 →水管を通して大気へ排出
空気側は冷熱 →
P5(水滴)
↓
P6:(水)
問題
1)E型:膨張熱利用とV型:気化熱利用
E型は,コンプレッサー型クーラーである.
V型は,クーリングタワーである.あるいは,吸収式クーラーもそうである.
膨張熱と気化熱の両方を使えるような過程を設計できるのかどうか
1)ミストの大きさが最も核心なのであろう.
小さすぎる → 気化熱による分離して残る方で冷熱を保有する物体をどうするか.
大きすぎる → 膨張熱の効果が小さくなる.
両方を使うとなると,効果最大となる調節点を2ツのグラフを合成して見つけることができる.そのためには,両方のエクセルギー評価グラフが必要となる.
E型:膨張熱利用のエクセルギー評価
V型:気化熱利用のエクセルギー評価
ミスト利用のいいところと,扱いでの問題点,その解決の方法
1)密度が小さく,空間と接する球形の自己面積が大きい.平面や,水垂らしと較べても格段の違いであろう.→蒸発量の効果に大きく作用してくる.
クーリングタワーの水垂らしの接面積の大きさ;
同量の水をミストにしたときの接面積の大きさ;
2)形の変形が自由であり,軽い,体積が大きい:水に較べて,密度が小さい.→送風で移動させやすい.
3)熱容量が,水に較べて小さい.
4)湿気がある・湿気をつくる.→湿気の扱いが重要
A:室内では完全封じ込めにして,屋外に排出.室内のその場で,熱交換器から冷熱を取りだす.
B:屋外でやって大気中に放出する.∧屋外で採集した冷熱を室内熱交換器で取り出す.
(シリーズ第3回了)