生命 自然の交流/共同のいとなみ

エクセルギーなLife&Housingラボ(NPO) 自然の循環性に生きる生活と住まい方/営みの提案交流ブログ

睡眠障害の自己療養 EMHTの理論★★ 根拠が分らないと実践できない

EMDPの原理を

睡眠障害の誘眠サポートに転用させる  (シリーズ2/6)

その根拠を考察する

 

 

EMDR療法とは

これらの装置の原理となっているEMDR療法はWHO世界保健機関2013年に「クライアントの負担が最も少ない治療法として推奨」したというものである.その専門的な意味は次の通り;

EMDR療法は,もともとは,トラウマ・うつ病治療の心理療法で生まれたものである. それは

眼球運動を為さして

→ネガティブな感情体験の記憶にアクセスして

→その妥当な再評価を為して→その本来の場所(過去)へ埋葬(再処理)を促す.

そのことで,もとの体験記憶に付随しているネガティヴな感情を解消(脱感作)する.

 というものである.

治療現場の映像,その解説の脳内Figureを観察すると,脳内の興奮性・ストレス:脳内エクセルギーの局在を散らばして,散逸による脳内エントロピーを解消する:消失させる/とみれる.

脳内活動のこの視点は,著者独自のものであるが,大脳・心身内部におけるエネルギー,その状態・散逸指標としてのエントロピー量による解析は,これからの大脳心理・生理学の研究課題となろう.

エクセルギーとは:有効エネルギーのこと.細胞活動にとっては必要なエネルギー・使用している状況(環境)エネルギー

エントロピーとは:エネルギー(細胞群にとってはエクセルギーの散逸状態の指標量

   

EMDRの訳語は分りづらいので

Eye Movement Desensitization and Reprocessing

        翻訳では「眼球運動による脱感作および再処理法」となっているが,分り難いので言葉の解説をしておく.特に心理療法で使う「感作」が我々クライアント;素人には大変分り難い.

Desensitizationsensitiveが「感受性が鋭い・敏感・繊細・感じやすい・気にしやすい・神経質」等の意味であり,そして接頭辞deが「から離れて・を除去する・を下げる・降ろす」ということである. そうなるとこの療法では‘過敏性を除去する’が体感として分りやすいだろう. この感受のつくり換えを感作というのであろう. 一方 Reprocessingは「始まりから終わりまで,目的に達するまでの(脳内作業の目的的な)過程・進行」をre再処理するということ.この療法の創始者であるフランシーヌ・シャピロ女史自身はむしろ,この機能に絞って「再処理療法」とネーミングすべきとしている.

※この頭文字記号とは別に以下に〈眼球運動による脳内ヒーリング・誘眠自己療養〉を,記号EMHTで表す.こうした意図の眼球運動による誘眠を単にEM誘眠と表記する.

 

 

 

1.睡眠障害の誘眠サポートに転用

睡眠障害の場合も,脳内症状は同様である. 睡眠障害鬱・心的外傷性等のネガティブな感情体験への固着ではなく,脳内活動としての思考の固執である. その興奮性の部位は左脳前頭葉であろう. その治療の一つはここに固着しているエクセルギーエントロピーを散逸させて,解消させることである.これを薬剤による強引な脳内操作ではなく,眼球運動をアクセスの梃子にして,自己暗示的に誘眠をサポートすることである. この方法は,EMDR本来の治療対象となっていたトラウマ・欝症状の心理療法と同じく,睡眠剤等の薬剤投与と異なり‘クライアントの負担が最も少ない治療法’となりうる.

EMDR療法の創始者F.シャピロ女史も,おそらく催眠療法で,眼球運動と自己暗示を使うことからヒントを得たものではなかろうかと思うのだがどうだろうか. このニっの手法両方とも,自己脳内領域にアクセスする方法としては,安全で適切である. そこから,睡眠障害の自己治療として誘眠する場合は,意識・無意識の領域で再処理することではなく,脳内の局所興奮性部位にアクセスして,そこのエネルギーをエントロピー散逸させて,解消する.こういう脳内のHealing過程を為させるということである.

 

2.乳幼児を寝かせる時のSleeping Song Sleeping Toyと同じ効果

現代人が情報画面と付き合って長時間曝される.ここにおいては,視覚を通して大脳の一部を過度に興奮させ,エクセルギーを偏在している状況で,睡眠障害を起こし,こうした状況が永年蓄積して,一つの脳内環境習慣病として,睡眠障害,更にはうつ病・対人恐怖症等の心因的症候を呈する一因となっているのではないのか.だから,その療養はその部位にアクセクして, その領域のエントロピーを散逸解消させることが有効ではないのか.これにはEMHTによる誘眠が乳幼児を寝かせる時のSleeping Song Sleeping Toyと同じ効果が発揮されよう.

幼児が眠りにおちいるときの状況を観察すると,Sleeping Toyの周期的な運動へ追視して眼球運動をなしている. そして傍らで,母親がマリヤのように優しく癒しながらSleeping Songを歌って寝かせるだろう. この様な寝かせ方はおそらくどの民族でも同じだろう. ここには,発達した大脳を持つことになった現生人類のいわば必然的な病となる睡眠障害を自己療養で直す大事なヒントが秘められている/と思える. それがEMDR療法の原理と通底するものである.

誘眠ライトを追視していると,揺ったりと漂う・軽く酔った感じとなる.乳幼児を揺り篭ユリカゴで寝かせると同じで,EMHTによる誘眠は,こういう脳内現象をつくり出すことが秘訣ではないのだろうか.このとき一体どういう脳内現象が起こっているのか,脳内の活動部位・領域において,大脳内の活動シナップス群のFigureに埋め込まれているエネルギーの散逸状態:エントロピーと密接に関わっているのではないのか,心理・脳内生理学で明らかにしたいものである.

※この〈脳内Figureエントロピーという量の設定と,その解析の理論はまた別に考究する.

※ここで言うFigureは,ピアジェの心理理論に依拠したものである. 詳しくは.ピアジェ『知能の発生』(翻訳谷村等訳ミネルヴァ書房昭和53年刊)などをご覧下さい. USアメリカで発達させた心理療法は,その理論グラウンドにピアジェ理論がある/というのが私の読みです.

 

3.レム睡眠への作為的なFigure

これは,覚醒と睡眠の境界期‘ぼんやり朦朧状態’において,眼球運動によってレム睡眠と同様の心理状態のFigureを意図してつくる/ということではないのだろうか. レム期睡眠の特徴は,グルグルと動かす眼球運動で,この後にノンレム睡眠期が起こり,この2過程で1睡眠サイクルを構成する. およそ2時間間隔ぐらいでこれを何度か繰り返す.‘よく眠れた’とは 5回のサイクルとなる. ここで提唱しているEMHT方式による誘眠は,このレム期睡眠の脳Figureを作為的に形象する方法となってくるのではないだろうか.

ヒーリングにとっては,Figureを作為する外部刺激となるimageは,自然の造形的であるということが大事だ.この造形の基本指針は,自然造形の数理解析であるフラクタル幾何図形にある.

脳内活動における脳内Figureそこにアクセスする外部からの導入Figure,その共振現象という視点はおそらく大脳心理・生理学ではユニークであり,これを重視してこの分野の医学・療法の研究をしてほしいものである.

フラクタル幾何については,このレポートの後半で述べる.

 

4.意識の向く目標を転換させる

このEMHTの機能は,ライト・映像への追視に意識を傾けさせることにある. 眼球の追視行為が始まると,思考循環が停止する.それでもまたこの思考駆け巡り循環が始まったら,自分でライト・映像をまた動かす.この自己作為によって,脳内の活動の意識において,目的的思考をしているという意識活動の目標が転換させられて‘頭の中で思考が駆け巡る’がなくなる. こうして脳内の思考展開部位のエクセルギーエントロピーが散逸・解消される.  F.シャピロ女史も,EMDRにおいて自己動作の重要性を指摘していたところである.

 

 

このレポートによるEMDR方式の誘眠ライト/シーンの開発構想は,以上のような睡眠の心理科学の探究に基づいて設計される.これが睡眠障害の自己療養となれないのか,その問題提起のための試行:実験である.

※睡眠について推薦したいサイト記事では【フランスベット社「あなたの安眠をサポート眠りナビ」,あるいはiGotit「眠れない夜にストンと眠るための7つの方法」「             睡眠とノンレム睡眠を理解して質の高い睡眠を手に入れる方法」などをご覧下さい. 大変いい内容です.