生命 自然の交流/共同のいとなみ

エクセルギーなLife&Housingラボ(NPO) 自然の循環性に生きる生活と住まい方/営みの提案交流ブログ

夏場の冷房:《伝統的な萱ぶき屋根》と 現代技術の《気化冷却波鋼板屋根》【シリーズ4/10】

Ⅰ.夏場の冷房:《伝統的な萱ぶき屋根》では雨を萱の髄まで染み込ませて,保水し,

それを暑い晴天時に,蒸発させて気化熱で家屋内部に冷気を落とす

 

 

仕掛け;①工場の屋根で使う《波鋼板》を屋根梁に張り,その上側に,《気化促進絨毛シート》を張って屋根を造る.

※この《気化促進絨毛シート》は,機能条件,及び製造方法も含めて,次頁で改めて考究をする.

★実際にはこの《気化促進絨毛シート》を貼った波鋼板を,メーカ‐で事前に製造してもらうことになる.

            ②現在のエクセルギーハウスで行っている‘2階天井に鋼板を張って屋根裏部屋で気化させる方式’ではなく,この《気化冷却波鋼板》を使って,屋根の梁に設置して,この屋根に.水を滴下して,蒸発気化熱を生み出す.屋根裏空間すべてをこれで冷やして,家屋全体に配る.

  《気化促進絨毛シート》について,現行の製品化技術では,3つの気化性能レベルがある.

それらの建築材料の開発完成にしたがって選択・使用することになる;

   第1気化性能レベル;現行のエクセルギーハウスで既に使われている《グラスウール》

                   気化性能は,夏場の外気温よりも,2階室内を5℃下げられ,高断熱の家屋全体が,冷やされ,猛暑日外気温35℃以上のとき,430Wのエアコンを補助として使えば,充分である.

   第2段階性能レベル;既にメーカ‐によって製品化されている素材を加工して使う.

                   屋根全面が気化冷却パネルとなっている設計で,猛暑日でも,エアコンの補助なしでも家屋の住空間が,快適性維持をできる性能レベルを狙ったもの.

   第3段階性能レベル;全く新たに,提起した製品を開発して使用するもの

気化冷却が,冷エクセルギーの分離であるという原理の過程の核心を捉えて,全く新たに,素材設計を提起して開発する.この開発製品は,汎用であり,広範囲な建造物に適用ができる.

   

冷空気から除湿して部屋に降ろす.

③2階の天井を《除湿フィルターすだれ》にして,冷気を家屋全体に降ろす.

★この冷気から,湿気を抜くために,萱ぶき養蚕農家家屋では,《すだれ天井》でやっていたが,機能が不十分なので,《除湿フィルターすだれ》にする

※製品化されている《ゴアテックス生地》のような,通気・除湿機能を繊維シートでつくったものである.

 

 

  付帯設備についてこれは施工の重要な留意事項である.

大事なことは,蒸発気化を促進するには,その蒸発現場での飽和性の迅速な除去である.『湿り空気線図』をみると,これが一目で分る.このことを線図から読み解いてみよう;

気化冷却装置の性能成果を示す数値は湿球温度計の温度が,その時の気化鋼板の温度である.》

猛暑日外気温35℃のとき(乾球温度温度),

相対湿度60%では,湿球温度は26℃となり,同湿度で80%弱では,30℃となる.

気化蒸発現場で,この20%の湿度差をつくりだすには,この現場に,風を当てて,つくることである.これは,我々が既に体験済みで,衣類を干す時の大事なコツであったはずだ.

  ということで,次の付帯設備を重視してほしい.

1.必ず,軒下側に吸気,屋根天辺側に排気口をつけること.

★横一列に並んだ全ての口をまとめて開閉する自動開閉装置がいい.既に高窓の開閉機が作られているので,それを使う.

2.三角形屋根の天辺の排気口には,自然風利用の風力回転ファンを取り付け,排気促進を図ると,さらにいい結果が出る.

      ★これは,今までのエクセルギーハウスでは設備してなかったが,長筒型の大変優れたプロペラファンが開発されている.自然風力利用ということで,夏場の気化促進の排風と,同時に,それ以外のシーズンでは,発電用に使うことは,大変おもしろいと思う.晴天でなくても,夜間でも稼動する.特に,冬場において,風が強いシーズン(あるいは地方)では,自然エネルギーの利用としては,大変有効である.

  ★これは屋根の天辺にそのまま,萱ぶき屋根の腰屋根の代わりに取り付けるというものである.見た目もそんなに大げさでなく,家屋景観も悪くはない.一般家庭で風エネルギーの利用の形態は,この屋根天辺横筒ファンが一番いい方法と思えないか.住居における風の利用は,気化促進と,家屋内の優しい微風と排気に併せて,その電力化がいいだろう.これによって,エクセルギーハウスの自然循環性エネルギーの利用,制御と調整は,太陽光,風と雨,大気熱,環境輻射,気化熱と,多様にして完結する.

※雪の利用は,住居家屋ではどうするのか,まだ未解決である.住居にとって,雪は除雪を強いる厄介者であるのだろうか.それとも,雪もまた,素晴しいエクセルギーとなりうるのか,雪の女王となるようにさせる知恵ある騎士の登場を期待している.