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エクセルギーなLife&Housingラボ(NPO) 自然の循環性に生きる生活と住まい方/営みの提案交流ブログ

萱ぶき屋根の家原理で,エアコンなしで自然快適性の住居を都市部につくる【シリーズ7/10】の

《気化促進絨毛シート》の素材

凄くいい材料が既に開発されているのだ!

 

《気化促進絨毛シート》の素材条件と形状,及び製造工法

蒸発気化熱の採集でもっとも大事なことは,その現象過程の核心に,フィットした設計をすることである.鋼板に貼り付ける気化促進シートの素材条件と素材の仕様は次の通りである.

 

 

A;水接触面の広大化と風吹き付け形状

水接触面積を広くすることである.その上で,よく風が当たる・吹き抜けて気化を促進できることが大事だ.だから,その鋼板に貼り付けるシートの表面は,絨毛形状が一番いい.

何故に絨毛か

  気化冷却促進シートの表面を絨毛にすることの狙いを考えてみよう.

  絨毛にして水をそこに濡れ伝い(毛細管現象と同じで水の表面張力による)させることによって,空気との接触面積を倍増させることができる.謂わば,蒸発面の平面から空間化するということである.

    ※電気自動車に搭載して活躍している《電気二重層キャパシタ》の開発での核心の一つは,この接合面の空間化であった.その一つが,高機能性の活性炭の開発であり,そのポア細孔のサイズの生成設計であった.絨毛の代わりに,熱伝導性を持つこうしたポア細孔素材で,薄いレンガ状の壁をつくり,そこに水を滴下して気化させる方法もありうる.実際に山梨県の開発企業が,この方式の火山岩スレートを造って発売している.素材が火山岩であり,熱伝導性も高いし.水に対するポアサイズの合致,耐久性等素材条件はそろっている.

同時に,水の性質で,先端結露があるが,それと同じように,《先端蒸発》という現象がある.これは,蒸発するという水の張力関係で生じる現象である.この現象もまた重要である.絨毛形状にするとき『ウィッセル』ことで,この現象を生かすこともできる.

 

素材条件は,気化量を増やすために,水の表面張力による濡れ伝い性が高く,空気の接触面積が広くなる素材であることを求める.それには,素材表面の親水性が重要である.これを考究してみる.

 

親水性コーティング剤A

親水性コーティングは,最近は,基板素材表面に吹き付けて塗布して,曇らない・セルフクリーニング・着氷雪防止等,カー用品などの用途で,広く使われだしている.商品も,丸昌産業社製【セルフェイスコート】など,多くの製品が市場に出されている.ナノ構造技術では,産総研,IHI社製などもある.素材候補を既製品素材の中から選ぶと;一番の候補は,私が見るに,2009年に発表された富士フイルム社製の【ハイブリッド超親水膜】であろう.そのサイト記事では;

★高親水性ポリマーをコーティングする発想での製法である.最表面に親水基を分子架橋構造で成型したものである.

★親水性がもたらす効果として10項が上げられ,その中で用途として,《倉庫屋根,アスファルトなどの冷却効果》とうたっている.

※アルミニウム付着性はあるので,問題は,耐久性である.風通しのいい屋根上日陰で,少なくとも10年間は持つかどうかである.これはメーカー実験をしてみないと分からない.

 

気化現場での冷エクセルギーの分離

水気化冷却装置で,性能の成否を握る大事なことは,気化現場で,冷却されて,残された側の水・媒体の冷エクセルギーを損失なく,採集するかである.気化熱の利用は,この冷暑エクセルギーの分離が核心である.そのためには,熱伝導性の高い素材を配置することが素材設計上で大事となる.

    絨毛形状の場合,この素材の芯Bは,熱伝導性が高いことが素材条件となる.これによって,気化熱を奪い取られたその表面から,冷エクセルギーが,鋼板に伝わり,取り出すことができる.

熱伝導性芯素材B

熱伝導率は幾つかの関連する素材では,次の通りである;単位はW・m-1・K-1

   銅398,アルミニウム236,ステンレス鋼16.7~20.9,ガラス1水0.6

ポリエチレン0.41シリコーン(Qゴム)0.16,木材0.15~0.25,羊毛0.05

この表から選ぶと;アルミニウムAlが第1候補である.熱伝導性・形状成型可・軽量・安全性・廉価等の条件がそろっている.※熱伝導性は,ガラス1(W/m・k)の236倍である.

※水の熱伝導性が低いということは,冷熱採集の現場で,水が蒸発現場と採集素材との間に入り込んでは,効果が落ちるということである.だから,絨毛の芯を熱伝導性の高い素材で造り,それが採集鋼板に直接に接合している状態がほしい.