生命 自然の交流/共同のいとなみ

エクセルギーなLife&Housingラボ(NPO) 自然の循環性に生きる生活と住まい方/営みの提案交流ブログ

ソーラ‐発電500万戸10GW実現構想

ソーラー発電パネルの設置台 設計提案          2013.11.3

   自然の循環性に生きる

エクセルギーハウス技術開発研究所

 

  エネルギー問題   売電普及よりも自前電普及で

   売電目的の大・中型ソーラー発電の前に

    各家庭で熱関連機器の稼動は

小規模ソーラ‐自家発電で賄うことが大事ではないのか.

 

200Wソーラー発電パネル4枚~8枚を1階屋根・ベランダ等に搭載して,0.8~1.6kWの小規模自家発電をする.エアコン・冷蔵庫などの熱関連家電の動力はすべて,こうした自家ソーラー発電で賄う.これを,0.8kWパネルの場合設置台を含めて全部込み25万円で実現できないか試行してみた.

※設置台を含まない,小規模ソーラー発電システム本体部分の構築で, 0.8kWの制作費が25万円の企画提案は,前号のレポートにおいて,既になされたので,そちらを参照して頂きたい.

これによって,家庭内使用電力の半分を占める熱関連家電稼動分の〈買い電〉をなくし,その浮いた電気料で,設置に必要な費用のローンを5年で完済する.これは新たなユーズ価値を創出して産業の活性化を図るドラッガー流である.ユーザーシステムを支援し,ムーブメントを起こし,全国600万戸・10GWを実現する.

今回のレポートは,このパネル設置台をつくるための探究である.1階屋根搭載・軒張りで,パネル1台を1万円以内で,〈耐風性・安全性を確保〉して設置できないものかどうかの実証実験である.

 

提案する方式は,次の通りである.

200Wソーラー発電パネルを1階屋根搭載・軒張りで,パネル1台を材料費1万円以内で,〈耐風性・安全性を確保〉して設置する. この試行を通して完成させ,1.6kW以内の小規模ソーラ‐発電設置台を製品化して普及させる.

各方式を実際に造作した設計図面は,別紙に掲載したので参照してほしい.

 

【1階屋根置き型2方式】

A:パイプ利用で組み立て   4シーズン傾斜角度可換方式で

     実際は,パイプは矢崎化工kk社製の【イレクターパイプ】を使用して組み立てた.

     アングルレールは,福富士kk社製【コンビネーション・アングル】を利用した.

1)パネルと架台の連結は,パイプでは不適当で,アングルレールを用いて行う.

※パネルの製品によってことなるが,図面のような場合,【40ミリ幅横穴】でないとパネルの穴と合わせられないので注意のこと.

2)架台は,φ30㎜のパイプと自在クランプを用いて組み立てる.

3)壁側架台土台として,角材を利用する.

4)耐風性には4つの方法:で対処する:①本体家屋への連結②パネル裏吹き込みブロック③全ての辺の三角形構造④2点固定法

 

B:アングルレール利用で組み立て    傾斜角度固定, あるいは2シーズン方式で

     アングルレールは,上記と同じく,福富士kk社製【コンビネーション・アングル】を利用した.一つだけ大事な欠点は,直方体構造と違って,三角形・三角柱構造の場合は,3辺で辺が結合できないことである.このために,【コーナープレート】を必要とするが,この社のものでは,薄くて耐力性がないので別のコーナープレートを利用した.結合に当たってはさらに,幾つかの部品が必要となるので注意のこと.

1)パネルと架台の連結は,40mm横穴アングルレールを用いて行う.

2)これとは別幅30mmのアングルレールを用いて架台を組み立てる.

3)耐風性に関する4つの方法は上記と同じ.

 

【1階軒張り型・方式】

Cアングルと木材利用で    冷却溝を空けて屋根傾斜と同角で据え置く.

1)パネルと架台の連結は,アングルレールを用いて行うが,

2)  架台の足は付けずに,冷却目的のための溝を空けた筏イカダ方式で組み立て,設置時間は1時間で住む簡易型である.

3)  家屋への結合は,軒下梁にプレートボルトで固定する.1階軒平行置き・木材錘であり,耐風性はこれで充分である.

 

 

市販されている現行のパネル設置方法の難点

 

★ソーラー発電システムの大手メーカ‐のやり方は,その多くは,屋根に穴を開け,梁に鋼材で接合するという設置法である.このやり方は,2階屋根向きではいいが,1階屋根では,余りにも工事が大変で,だから設置工事代が,高額すぎて,大衆化できない.

※例えばT社の場合で,200Wパネル8枚1.6kWのスレート屋根搭載で,設置料は152万円であり,1kW当り95万円にもなっている.

★一方で通販で多くが売り出されているものは,〈パイプに脚付き〉で,セイゼイ庭置き用としてしか使えない.そういう感じのつくりである.耐風性がなく,とてもでないが1階屋根・ベランダ等の設置でも使えない.「工作遊び」程度と揶揄されても仕方があるまい.

  ※例えばD社の場合で,200W1台の搭載設置台が,47,000円であるが,耐風設計は全くなされてない.

 

 

設計の課題

 

) 200Wパネル1台当りの設置費用1万円以内での実現

★エアコンを使うならその電力は自前でやる.ソーラー発電は,パネルの設置も含めて,エアコン並みの設置工事でできるようにする.この課題を実現できるような,最も合理的な設計プランを考え出す.

) 建築基準法で求められる耐風性・安全性を求める.

すなわち屋根の耐風性と同じ強度で造られること. そして少なくともパネル耐久年数と同じ耐年性を確保すること.

) 屋根を傷めないで, 設置型で造る.

現在 多くのメーカーの設置方法は,屋根・瓦に穴を開けて固定する方法である.2階屋根では,こうしたことが必要であろうが, 1階屋根・軒張りでは,もっと別の方法がある.それを工夫することである.日本の多くの住居家屋は,1階に屋根があり,あるいは軒がある構造となっている.そして2階の外壁をもっている.こうした特長を生かして設置を工夫することである.

) シーズン対応で,パネル傾斜角度を変換できるようにする

このことで,受光量:モジュール変換効率は,パネル傾斜角度年間固定制よりも,かなりよくなろう.単純計算でも,10%の効果量アップとなる.パネルの基幹となっている半導体機構の製品開発と同時に,この工夫が大事である.

5)パネル裏面は必ず,風が通るようにして,冷却する必要がある.

ソーラー発電パネルの設置で大事なことは,パネル裏面は必ず,風が通るようにして,冷却する必要があるということ. これはシリコン光電気変換原理に関わることである.この考慮がされてない設置方法が,大手メーカーでも往々にして見受けられる.

以上の条件で,パネル設置台を,ホームセンターに置いてある製品で作ってみよう.

 

     集合住宅(低層マンション)では,屋上の陸屋根利用だけでなく,外壁は,ソーラー発電パネルを設置できるように,ポケットを付けさせるようにしたい.最近は,壁に鋼材メッシュを張ってそこに植物を伝われせる工夫が見られるが,これをソーラー発電パネル設置にすればいいだろう.だから,集合住宅は,3階建てが,いいのである.

     そもそも家を建てるときには, 2階屋根は,太陽光受光量最大角度(緯度による)の傾斜で建てるようにしたい. これはおそらく過って,ガラス窓が住居建築に取り入れられるようになったとき, 窓の開口部を南に広くして採光・暖房をする建て方となった時代と同じである. 東京地方の場合,南向き屋根が35度である三角屋根の家が普通にしたい.そういう町風景である.

     そして,新築工事にあっては,2階屋根上に,ソーラ‐パネル固定用の金具を設置してほしい.これは,1階屋根・軒にも求めたい.ここまでの建築設計配慮がほしい.

 

ソーラー発電パネル形状にかかわった現行の問題点

) 取り寄せたパネルは,中国製で,1580x870㎜(製品表示は1615x838x50となっている)重量は16.5kgである.

※それぞれのパネルは,大きさが規格化されていないので,必ずその製品ごとに実測のこと,

※パネルのサイズの規格化を国がすべきである.

) 更に加えてこれらのソーラー発電パネルは,その設置台と連携した設計となっていないのである. どのような設置台に,どのような方法で連結して,耐風性構造を持たせるかが,全く考慮されていない. したがって, 実際に設置設計するにあたっては,実測されたパネルの寸法と形状に対応して設計することが必要である.

  ※今回の試行では,アングルレールを利用してこの解決を図った.

 

耐風性を如何に確保するか

設計に当たっての最大の課題

200Wパネルは,かなり重いが,パネル面を斜めに設置するとなると,耐風性が問題となる.

大事な指針は, 家自身は建築基準法で建てられているのであり,その家屋の構造に依拠して設置することである.

 

その解決の方法は次の通り

1)       パネル架台背面からの風の吹込みをさせない.

冬・春秋は,背面に〈吹き入れブロック・フード板〉を張って,2階外壁に近接して設置する.

   夏シーズンは,傾斜を20度(屋根傾斜とあわせるとそれと平行でいい.)以内とする.

) 同時に,パネルの後ろ縦の梁を,90x90x1800正方角材でつくり,これを屋根壁側に置いて,重りにして,これに固定する.※壁側の位置は,均等に長く,屋根桟に重量を掛けても家を傷めない.

★三角形パネルの上横梁を2階壁の柱に固定金具を使って固定したい.

) 風速35m/sec以上の暴風との時は,パネルを折って,パネル面を屋根にくっつけるようにして避難させることも考慮する.

) レール・パイプの長さ方向の耐性強度を生かして,梁の形状は,三角形に作る.

 

 

用材の選定と設計の実際

 

大手メーカ‐が現行でやっている〈鋼材での屋根固定設置法〉はとらないで,以下のようにして工夫する. その二つの方法A;パイプ利用とB;アングルレール利用を紹介する.

★木材の利用も侮っていけない.今回の設計では,屋根に直にパネルを連結・固定しない代わりに,重石として角材を利用する.木材は,屋根を傷つけず,大きさが選択でき,防腐塗装すれば,耐久性もある.

 

 

A:パイプを利用した組み立て;  φ30㎜のパイプを用いて行う.

     傾斜角度を可換方式でやることができる.

パネルの長方形対辺をパネル枠幅に合わせたアングルレールを用意する.例えば,幅40㎜の場合, 【横穴40㎜・長さ1800㎜】を使う.

※横穴・縦穴は,パネルの穴の位置を見て決める必要がある.

★パネル設置台は,次の材料で作る.

【ヤザキイレクター社製】φ30㎜パイプの最適な用材が売られている.

メタリックパイプ2000mm.HPS-2000958円/,  同900mmHPS-900427円/

この製品シリーズでは,これらの接合の部品が豊富に用意されている. 特に自在クランプに最適なものがある. HJ-7661円/

    ※このクランプの使い方には注意が必要である;パイプ通し側のジョイントが噛み合わせ入れ構造となっている.これをキチンとはめ込んでボルト締めをしていないと,パイプに固定されない. 固定できてなくて使っては,破壊事故につながる.

パイプキャップ,φ30㎜用キャップあり.

 

このパイプ利用の方法は,見た目も綺麗で,一押しのお勧めである.

シーズン対応で,パネル傾斜角度を容易に変換できる

※必要全部品のトータル材料費が11,290円となり, 当初目標の1万円を超えてしまった.

 

 

B:アングルレールを利用した組み立て

  傾斜角度固定, あるいは2シーズン方式で

アングルレールの利点と利用法

1)       現在パネルの規格がなされていない現状では,これを架台に連結するには,アングルレールは,L字形状の鋼材に縦に多数の穴が空いていて,これにフレキシブルに対応できて,利点がある.

     特に外国製のソーラー発電パネルを利用するときは,パネル製造と設置台は全く無関係に形状設計がされているので,注意が必要である.実際の架台設計では取り寄せた個々の製品を見て,それに合わせる必要がある.

2)     2本のレール接合が,ボルトナットで簡単にでき, またこの2本の交叉部分の角度がフレキシブルにできるところがいい.シーズンに対応した傾斜角度の変換,大風の時の避難など,外して再組み立てのときに,ユーズナブルでやり易い.

 

     アングルは,幅によって幾つかある.200Wパネルの場合,これを囲うようにして固定するにはパネル枠の幅と同じ長さで,【幅40㎜・長さ1800㎜】1300円/本がいいが,他の部品も含めて,架台全部の梁をこれにする必要はない.他の部分は,【幅30㎜・縦穴・長さ2種類】が適当である.

     ※パネルの長方形対辺を支持するアングルレールだけは,幅をパネルと合わせないといけない.

 

3)     レール同士の接合外側2面を面で合わせて,ボルト・ナットで固定.穴が大きいので,必ず,座金・ばね座金を入れること.

4)     木材との接合レールの1面が平面であり,木材と木ねじで固定できる.この場合も①アングル側に座金を入れて,②木ネジの長さ.・太さは,耐風・耐久性を考えて充分深く入れること.

5)     アングル,あるいはパイプなどの金属材料が,屋根に直接触れる形の場合は,レールの角で傷つけないように,ゴムクッションを必ず入れること.この方法で,一番手っ取り早くて手軽・格安にできるやり方は,バイクの古タイヤを適当に切って利用する方法である.劣化もせず,耐久性もあり,10年20年は軽く持つ.

6)     土台錘となる90㎜正方角材,及び,90x45長方角材とこれへのアングルの固定ボルトの購入も忘れないこと.斜めの架すかいの木部への固定は,L字金具の折れ角度を変形しないと合わせられないので注意のこと.

7)      材料費はパネル4台連結で,トータルで,        円となった. この方法でも,目標のパネル2台当りの材料費1万円目標が実現できた.

8)     アングル利用で組み立てるに当り,幾つかの“絶対必要な金具”というものがある.これメーカ‐は,必ず作ってほしいものである.くれぐれも言っておきたい.

 

日本家屋独自のソーラ‐発電パネルの製品化を

 

ソーラ‐発電パネルの設置台では,ドイツでは,【クラニヒ・ソーラ‐社】のように,独自設計によって,製品化して世界に売り出している.この点でも,‘ソーラ‐発電普及先進国’ドイツに遅れをとっている.日本でも,ソーラ‐発電パネルの架台レールを規格化して製造すべきである.

この設計にあたって,日本の自然条件,及び家屋は,ドイツとは異なるということが大事である;

自然条件:

多雨・年何回かの暴風という温帯モンスーン地帯である.加えて大事なことは,日本の緯度は,中緯度であり(東京地方で北緯35度),ソーラ‐発電パネルの設置角度の創意が求められる.それは,夏と冬の南中高度度差が大きいということである.だから,少なくとも年2シーズンでパネルの傾斜角度の変換がほしい.

家屋条件;

日本の住居家屋の多くが,木造・2階屋根・屋根建材の多様さ・1階屋根あり・軒ありである.これにフィットした設置台がほしい.

 

規格化した製品で最高の設置台がほしい

その第一の求める課題は設置台の汎用性である.

それは上記の日本家屋の特徴である,屋根の多様性にある.屋根の形・建材,設置場所によって,規格製品化した架台は,この多様性に合わせてフレキシブルに対応できるものであること求められる.

そして第二の求める課題は1階屋根・軒設置型では,年2回のシーズンに合わせた傾斜角度の変換ができる工夫である.

これは“家屋の模様替え”のように年2回シーズンになったら行うということ,この営みは,この国に住いて何千年も続けてきた住生活の知恵である.

この課題で一番いいのは,

アングルレールで架台を規格製品化することである.

これが今回のソーラ‐発電パネルの設置台の試行実験の結論である.

     費用は,2台連結方式で,連結1万円以内で材料費が納められ,

     工事はソーラ‐発電受講電気工事士が1時間以内で設置できるようにしたい.

 

補足シーズン変換方式のパネル設置傾斜角度

 

パネル面設定を〈真南・南中角度〉の条件で,年間傾斜角度固定の場合と比較してみる;

東京地方の場合南中高度とパネル傾斜角度

  地球自転軸の傾斜角度が23.4度である.そして東京地方の場合,緯度は35度である.このことから,南中高度は,その補角55度を基準にして±で求められる.パネルの最大効率傾斜角度は,その補角である.以下は比較の目安として南中高度時に絞っての計算である.

南中高度   最大効率           傾斜角度35度固定との比較()

                                                    パネル傾斜角度

夏シーズン       78度      12度             35°-12°=23°  cos23°=0.92

  春秋            55度      35度                 同じ    =

               31度      59度             35°-59°=24°  cos24°=0.91

     全日の受光量積算は, 三角関数積分で求められる.これは高校の数Ⅲの問題である.

 

年4回シーズンごとに角度を変換する場合,

年間35°固定制と比較して,およそ10%ぐらい得するということ;  これは大きい!

 

★年間4回の変換では大変というならば,少なくとも年2回6カ月ごとに角度を変換することをお勧めする. この場合は,太陽移動角速度を考慮して次のようにする.

※全くの感覚的な概算である.

 夏バージョン(4月~10月;一番暑い7月に合わせる)

南中79°-8°=71°その補角で29度   あるいは, 春秋35°-8°=27度

 冬バージョン(11月~3月;一番寒い1月に合わせる) 

南中30°+8°=38°その補角で52度   あるいは, 春秋35°+16°=51度

 

方法;

φ30mmパイプでも,アングルレール利用の架台でも,固定した部分は自在クランプ,あるいは,ジョイント・ボルトを外して三角形の2点間距離を調節して,簡単にパネル面を,シーズンごとに換えることができる.

 

家屋根の傾斜を考慮

この傾斜角度を設計するとき,パネル設置に当たっては,家それぞれの屋根傾斜があり,これを考慮すること.今回の事例の場合1階屋根の傾斜は,14度である.設置工事にあたって角度決めは, 分度器ではなく,三角関数を使って三角形の長さでやることで,より正確に・確実に組み立てられる. 部品のセット製品化の時点で,パイプ・レールに印を付けておきたい. なお,屋根傾斜が分らないときは,エアコン工事でも使う【水準器】が必要となる.

 

メーカ‐・セーラ‐, 及び国へのお願い

 

以下のレポートで提起するように,幾つかの方法で試作してみて, 200Wパネルの設置台は,4台当り 材料費が,1万円ぐらいで制作できることが分った. このことによって,

  売電目的の前に,自家電力は,自前で賄う.これが普通のことになるようにしたい.

 

そこでメーカ-・販売店,及び国に対してお願いである.

1)       1階屋根,あるいは1階軒張りで,畳4~5帖分のスペースを利用して行う小規模ソーラー発電パネルの設置台をパネル4台当り材料費1万円以下で製作できるように,部品セットを商品化し,設置工事は,エアコン並みにできるようにしたい:‘柱・梁にコ字形ボルトを打って固定し, エアコン工事のように,セットを組み立て,ト~ンと置いて,ハイで設置完了’のように出来ないものなのか. ここで提起する試案の設置台設計図を参考にして,パイオニアとなることを期待する.

2)    国は,大・中規模ソーラー発電システムだけでなく,こうした〈個人住居屋根・売電目的でなく,電力自前電の小規模ソーラー発電〉の設置方法,その設計に対しての指針を提示して支援すべきである.

3)     こうしたニーズの広がりを受けて, 金融機関も,【2kW以下小規模ソーラ‐発電設置ローン】が商品化されることを望みたい. 既に,大・中規模では,こうした【ソーラー発電ローン】が商品化されて売られている.

国は,補助金もいいが, こうしたローンの保証と利子支払いに支援することを奨めたい.

4)    なお当然のことであるが,エアコン設置と同様に,ソーラー発電パネルの現場での設置は,太陽光発電システム施工講習会受講認定の電気工事士によって,耐風性・耐久性・安全性を踏まえた工事設置がされるようにしたい. この講習内容にも,〈2kW以下の小規模ソーラー発電の場合〉の指針を独自に入れるようにすべきである.

 

 

行政的な支援の仕方, 工事基準法規について

ソーラー発電に対して,行政的な設置基準区分では, 中規模20kW,50kW 大規模500kW等の基準を設けていたが,これらは,発電産業向きの基準である. その措置は,【システム導入に伴う関連法規】では,20kW未満に対して,【工事計画・使用前検査・使用開始届・主任技術者・保安規定】の全てに不要となっている.最近になって, 過程の屋根搭載型の小規模発電が広がり,‘行政指導’が入るようにするために,10kW未満についても,施行基準が設けられた. しかし,この措置についても,売電目的が主流の対応である.必要なのは, 住居屋根搭載のソーラ‐発電に対する指導・支援である. この普及によって,全国600万個・10GWを実現することである. だから,屋根搭載型のパネル基準では,住居屋根中規模5x5=25枚;5kW発電以外に, 200W住居屋根小規模2kW以下を一つの範疇にして,扱ってほしいということである. 後者の規模は,売電目的やではなく, 家庭における電力使用の半分を占めている熱関連機器(エアコン・冷蔵庫等)の稼動電力目的で行う自前電である.

行政の監督・指導・支援は, 規模別よりも,目的別に発電産業と住居屋根搭載とに分ける.

 ソーラー発電規模   発電能力          発電目的                監督指導基準

大・中・小規模      10・20・50kW等       発電の産業である.        設置基準が必要

住居中規模        10kW~3kW         売電目的の住居屋根搭載      

住居小規模        3kW以下            自家発電・自前消費       指針提起でいい.

 

現行では経済産業省資源エネルギー庁管轄で,太陽光発電に関する製品・施行基準】があり,10kW未満の小規模でも,平成25年1月10日より, 太陽光発電設備の申請・認定制となった. ここでもまだ,国の目線は,売電目的のソーラー発電で,大が中になっただけの規模発電の発想である.

今回の実験に基づく企画での法的な課題は,2kW未満の全く小規模ソーラー発電であり,それを1階屋根・軒張りに搭載することに対する,安全性確保のための利用ユーザ‐への指針提起である. こうした姿勢による援助をしない限り,全国600万戸10GWソーラー発電へ拡大はできない. その基準設定・監督・指導は, エアコン設置と同レベルでいい.

 

     家庭小規模ソーラー発電に対する〈システム導入に伴う関連法規〉の現状は, 隙間があって,不備である. そーら発電システムは,「電気工作物」あり, これを建物に連結すれば,「建築物の一部」ともなる.だから,電気事業法にも,建築基準法にもかかわる事例である. しかし,現場では,具体的には次のような状況がある;

     200Wパネル1.6kW以内を1階屋根搭載・軒張りで行う小規模ソーラー発電の設置は,建築物高度基準に該当せず,建築基準法に該当しない. しかし,建築物に連結する工事であり,建築物の一部となり,建築基準法適用となる.

      また, 発電・蓄電は,1枚当り24V以下であっても,何枚も連結するのであり,動作電圧は36V以上となり,工事士規定の30Vを超えて対象となる.

     さらに言えば,ソーラ‐発電システムの異なる方式によって,発電電力規定が異なってくる.〈独立ソーラー発電〉の場合は, 使用機器への電力の独自な配線によってなされる. こうした自家発電・電力自前であり,電力会社との契約も必要としない. しかし,バッテリー使用方式でなく,系統電力に連結して,それを電力調整機能で使う場合は,例え少量電力でも,電力会社との契約が必要となり,発電電力規定に関わってくる.

     家電への配線は100Vであり,電気工事士にやってもらう必要がある.

 

以上のような国の基準が絡み合っているが,2kW以内の1階屋根・軒設置型の家庭小規模ソーラー発電方式は,こうした現行の法的な基準状況からすれば, 電気工事士の設置工事で済み,国の指針提示・工事環境整備よりも先に, ユーザーのニーズとそれを受けた企業側のセット製品・商品化の方が,先行拡大するのかもしれない.

 

国もこうした展望を受けて,法的な体制も整えて,ソーラ‐発電500万戸10GWを実現できるようにしてほしいものである. また,メーカ‐・セーラ‐は, 1.6kW以内のソーラー発電システム,及び設置台をセットにして製品化して,市場に出すことを期待したい. このレポートで提起する企画案をパイオニアでやっていただく企業を求める次第である.

(2013.12.28 ブログ発表)