誰でもできる小規模ソーラ‐発電で全国500万戸10GWを(シリーズその2)
ソーラ-発電パネルの架台製作:設置方法
2階屋根の搭載は,工事が大掛かりで,費用もかなり掛かる.それでは,一般家庭に向けて 広くは普及できない.それで,1.6kWソーラ-発電;200Wパネル8枚分は,1階屋根とその軒を利用して設置することにしたい.ソーラ‐発電の大衆化にはこの設定が重要である.
材料は,
① シーズンごと傾斜角度可変式の場合;組み立てパイプユニット
製品例;矢崎化工社製【イレクターシリーズ】などがある.
② 傾斜角度(地点緯度の補角)固定の場合;アングルレールをユニットにして利用
製品例;福富士社製【コンビネーションアングル・シリーズ】など
耐風性の工法
A: パネルは規格化されていないので,パネル枠を先ず アングルで枠固定をする.
B:ユニットは全て三角形を構成して作る.三角形の2点固定: 架台を2階壁に固定し,かつ,重石とした角材に固定
C: パネル背面に風を吹き込ませないようにする.
★製作実験の結果は,200W1枚のサイズ縦158㎝幅81㎝として,2枚1組にして設置,1組の材料費1万円・4組計4万円で可能である/ことが分った.ドイツのソーラ‐発電パネル設置台のように,これらの素材を基にして,日本家屋の固有性に合った1階屋根・軒に,エアコン並み工事の容易さで設置できるように,セット化したい・すべきだ.設置台もこうしたセット化をしないと国民に広く普及はできない.そうすれば,費用も 上記材料費と設置工事費を合わせて,ユニクロ製品のように 高品質でかつ大衆受け価格にすることができよう. なおこの設置台の設計方法は,当研究所発表の前レポートを参照してほしい.
200Wパネル8台の連結の場合
パネル1台の性能200W/36V/5.55A ※偶数個で組立てのこと
★ 例えば1.6kWでは
2台直列1組・4組並列連結; 36Vx2=72V 5.55Ax4=22.2A
※出力Wはこの80%で計算のこと.かつ 緯度35度の東京地方では,発電可能日照時間は 夏場は7時間・冬場は3時間が 時間発電量Wh計算の目安である.年間平均で 3.5時間/日という目安である.
※ 200Wパネル4枚0.8kWでも結構いける.製作実験では,エアコン1台を 夏場では;410Wを6時間,冬場では;430Wを3時間稼動させられた.但し,このソーラ‐発電0.8kW では,立ち上がり時の始動電力は充分ではなく,系統グリッド電力で一旦フル稼動させて〈落ち着いてから〉切り替えることが必要である.
※ソーラ‐発電パネルは,日本の高技術の独占品では,高価であるが,外国製(ドイツ迂回輸入も含めて)で200Wパネル1枚が3万円台で日本の市場に出されている.
そうすると発電パネルの価格は シリコン単結晶でも
8枚;24万円 6枚;18万円 4枚;12万円ぐらいとなる.
ソーラ‐発電 系統連系・独立型の2つのやり方
パワ-コンディショナ-1本でスマートに行く方法
系統電力を自前電の調整機能として利用するものである.
このシステム構成では,パワ-コンディショナ-1個の機器で完成する.但し,系統電力を供給する電力会社との契約が必要である.
★この場合,独立型システムで必要な4つの機器:チャージコントローラ・バッテリー・正弦波インバータ,及び,グリッド切替器は不要である.
パワ-コンディショナ-のお勧め製品;
【田淵電機社製【ERC‐C‐S18P】 円
※ これは,小規模ソーラ‐発電用に開発した慧眼と 優れた技術によってなされた技術集積体の一押し製品である.電力会社との〈系統連系契約〉でも文句は言われない.
★この小規模用のパワ-コンディショナ-を用いれば,バッテリ-不要であり,システムは20万円ぐらいで設置できるだろう.文句なしに,エアコンの設置・稼動をエアコン並み費用の発電で可能とすることができる.
※系統連系型で使うパワ-コンディショナ-は,以下で述べる独立型システムの場合で必要とした機器の中で,2つの機器:正弦波インバーターと電源切替器を合体させたものである.それに保護回路を厳重に加味して作られている.だから 1.6kWぐらいの小型パワ-コンディショナ-は,価格もこの2つの機器を合計したものぐらいで製造できるはずである.それに当たって,機能を精査して 必要なものに絞り,もっと大衆普及向きに;エアコン並みの費用で設置できるようにすることが必要であろう,そこで,この機器の目的とそれの実現のための機能を検討することになる.その核心はソーラ‐発電と商用電源の切り換え機能ではなく,ソーラ‐発電のサポートとしての商用電源の利用というコンセプトでの設計である.これについては 当レポートの別項で述べる.
自前電で連系をシンプルに行く方法
系統電力を供給する電力会社との契約を必要としない独立型で行う場合は,次の4つの機器が必要となる:
A:チャージコントローラ B:バッテリ- C:正弦波インバータ D:グリッド切替器
※ この方式では バッテリ-が必要となるところが頂けない;現行のバッテリ-は 消耗品で かつ 結構 高価である.加えて,希硫酸の使用・水素ガスの発生等 取り扱いに充分注意が必要である.だから,バッテリ-の利用は ソーラ‐発電を一般家庭で普及させることにとっては,必ずしもいいやり方とはいえない.但し系統連系型と異なって,電力会社の不都合によって停電となるときには,威力を発揮しようというものである.しかし その時のために備えるということでは無駄に付く.
バッテリ-設置のもっと重要な役割は,別にある:ソーラ‐発電も含めて自然再生エネルギーを利用するに当り,その発電量の刻々の変動は付き物である.小規模発電の場合は特にこれが激しい.だから系統電力側(電力会社)は,連系を嫌がるのであろう.この問題の解決では,自然エネルギー発電による電気量の平準化がいい.それには電気の蓄電性が重要な役割を果たす.しかし蓄電器(池)の技術は 現行では完成形には至ってなく,原理的にも再検討されるべきである.この開発は 家庭で小規模のソーラ‐発電を構成するときに最も大事であろう.当レポートの後半で項を設けて考究する.
チャージコントローラ
※ 技術的に難しいものではなく,そのためもあって 市場には多くのメーカ‐製品が出されている.価格もマチマチで 適度な競争による安定価格:平準化とはなっていない.その上で製品を紹介すれば 例えば;
ドリームリンクス社扱いの外国製【MPPT方式50Aチャージコントローラ】 24,800円
バッテリ-
※ 製品としては 自動車用のバッテリーとして大量に必要となり,世界中で価格競争が激しく,だから市場では価格幅は大きい.まさに ダンピング横行の状況である.例えば;
【プリマックス600‐38】外国製(韓国) 14,800円/台
性能; シールドバッテリー12V・100Ah・始動性能850A/(1台の性能で)
※ これを4台揃えると値段は結構となる. x4台= 59,200円
正弦波インバータ
※これもまた,製品技術としては完成品である.しかし細部の微妙な仕掛け・配慮には外国製には欠けるものがある.日本製(Made byではなく,Made in)で例えば;
未来社製【正弦波インバータFI‐S1003】 58,600円
性能;入力電圧 24V(定常範囲21V~30V)連続出力1000W・AC100V
※各種保護装置は完璧に付いている.
2電源切替器
※ 製品としては例えば,
福島電気社製【オフ・グリッド/グリッドパワー切替器OGS‐20】18,270円
性能; 定格入力電圧AC100V 最大許容電流20A 切替時間約15mS
入力電源優先切替機能あり; ①インバーター優先 ②商用電源優先
この独立型方式の場合のシステム構築では,見積もり合計額は 16万円 となる.
★ この金額を合わせて ソーラー発電パネル8枚では 総計して 40万円 となる.
これは,1kW当りの価格としては 25万円である.
★ パネル4枚; 0.8kWの場合は,総計28万円 で可能 となる.これならバッテリー4台:6万円分が加わって高くついた独立型でも,ユーザー感覚では,エアコン価格並みと受け止めてくれよう.