生命 自然の交流/共同のいとなみ

エクセルギーなLife&Housingラボ(NPO) 自然の循環性に生きる生活と住まい方/営みの提案交流ブログ

自然循環性の最高な快適性の住居を都市部でつくる【シリーズ9/10】

Ⅱ.冬場の暖房:《伝統的な萱ぶき屋根》ではし

30cm厚の萱髄を乾燥させて,中に暖気を保有して,断熱・暖房

囲炉裏を常時焚いて,萱を乾燥,除虫する.

冬場・早春・晩秋はその上昇暖気を2階の蚕室に持っていく.

 

現代技術で《太陽光熱取り込み管》と床下の《温水放熱タンク》,あるいは,《放熱管シート》

仕掛け;   ①受光面は黒体で,最も高い熱取り込み

②管内側に熱反射膜を被覆して,取り込んだ熱を逃がさない.

  ★新築の場合は,これまで通りに《循環熱媒体を水で行う水製管》を勧めるが,改築の場合は,床下暖房をするときは,床下の高さ構造がいじれないので,放熱タンク方式では出来ない.屋根裏も同様である.既存の構造・造作そのままで,《熱媒体をオイルにした太陽光熱取入れ黒体管》を使って行う.このオイル製ならば,夏場で80℃,冬場でも70℃を確保できる.これも,ドイツ製で既に製品化されている.

ただしこのときは,屋根上でつくられた温熱水を夏場・春秋の期間,風呂等の給湯用に使えないので,屋根上搭載パネルを専用で,もう1台設置する必要がある.

★ビル・工場,多人数集合場所では,このオイル製でやればいい.既にドイツではこれが拡がっている.さらに,これを使って,地中海の対岸のアフリカで発電して,ヨーロッパに送電するプロジェクトが始まっているという.

 

 

Ⅲ.室内気の湿度調整:《伝統的な萱ぶき屋根》では萱の層と多様な設置窓の開閉,漆喰壁によって,吸湿・調湿.更に囲炉裏で弱火を常時焚いて,室内気を乾燥

 

現代技術で《輻射冷却・乾燥管》

仕掛け;   ①夜間の輻射冷却・乾燥化させた空気を,屋内に引き込む.

②Ⅱの使用と同じ器具《ドイツ製黒体パイプ》を使って,中の水を抜いてそのまま使用すれば,昼間乾燥,夜間天空冷輻射を取り込んで,乾燥冷気をつくりだすことができる.

          ③設置は,北側屋根全面でなくてもいい.

 

Ⅳ.家屋内に柔らかい風の路をつくる;自然との交流をなす家設計

   多くの住宅建築会社のコンセプトは,温湿環境については,’家屋を断熱して,部屋を完全密封して,その中で,エアコンを使って温湿環境をつくる‘というものである.これが本当に,住まう・営む人間にとって心地よい快適性といえるのか.

      これとは根本的に異なり,和の住居建築は,自然の素材を生かし,自然の原理を巧みに使って,大変驚くべき快適な住空間を成してきた.この長い歴史の中で培ってきた優れた伝統を,全て生かすことが大事だ;

      ここでは,家屋の中に優しい風が通るということの大事さを例としてあげる;

家屋の窓・間取りの設計;

住まいにそよぐ,優しい風をつくる,その路を日本の伝統的な家屋は,巧みにつくっていた.

★南窓は大きく,北窓は小さく.

★出口がなければ風は通らない;浴室,あるいはトイレの窓の作り方

★北側の下窓の効用,土間の効用

★厨房,あるいは階段の吹き抜けの効用

★養蚕ヨウサン農家の屋根・2階構造と吹き抜け・窓の採り方を研究する.

★軒の長さ・高窓の設定,縁側的な空間を使った夏場冷室・冬場温室の効果を生かす.

 

 

Ⅴ.自然を生かす・自然素材を生かす家設計

家屋内部の周囲面を壁はポア珪藻土・漆喰塗りにして,床・天井は天然木板を使うなど,自然の素材を巧みに生かした建築にする.

窓・部屋周囲面・土台等外との接触空間はすべて,完全な断熱にする.

断熱,冷気,あるいはエクセルギーを取り込む,湿気の調整をする等,温熱湿気調整の仕組みを細部まで徹底して工夫をする.

 

住居は,ハウスメーカ‐が作って与えれば,済むというものではなく,住み手自身が何十年も掛けて住みやすく,作り直していくということが大事である.住居設計も,住み手が,住まいながら,そういう手を加える余地を持ったフレキシブルな設計こそ,住まうことで進化することである.住居家屋が一つの生命体として考える,エクセルギーハウスの思想である.日本の住居家屋の年齢は,30年一世代で,4周期120年が最小単位である.年輪を重ねるごとに,ますます美しくなる,そういう家でありたい.そうするには,住み手自身が,住まいを大事にして育てることである.

例えば,京都町屋でやっていたような,シーズン仕様の模様替えは,住むという営みを楽しむということである.ささやかだが,次のような工夫を紹介する.

★雨戸も,鋼板だけではなく,内側に断熱材を貼り付ける.

★西日の入る小窓は,内側戸をつける.

★二階南・北ともに,窓には簾を垂らす.

★夏場,一階南窓はグリーンカーテンを全面にする.

★西壁,西窓には,ワイヤーネットを一面に張って,蔓性の樹木を植えて,何年かかけて覆うといい.

★北下窓の庭には,アジサイなどを植栽して,葉っぱの裏の蒸散気化熱による冷気を取り入れる.

 

建材・用材の選択

ポア珪藻土壁,自然木の適材適所の仕様

庭・外回りとの複合

京都町屋の中庭設定の意味

東京多摩地方の農家庭樹木の植え方

南庭にビオトープを作ると,夏冷気・冬反射光が利用できる.

 

そして街もまた,住居にとって,重要な環境なのだ.

家を樹に街を森に;ビルの壁も,道路面にも植栽をして,街に風の路を設計する.

 

※上記Ⅳ,Ⅴの内容の詳細は,レポート建築士黒岩哲彦設計エクセルギーハウスの全てを見せます」をご覧下さい.

   自然の循環性を活かして快適住空間を創ることで大事なことは,基本の循環性創出と同時に,機能を総体的に作ることである.自然はトータルで,かつ複合エナジーで作用を為しており,それを生かすには,全ての細部に渡って,トータルで為し,複合エナジーな仕掛けが優れた果実をもたらす.