生命 自然の交流/共同のいとなみ

エクセルギーなLife&Housingラボ(NPO) 自然の循環性に生きる生活と住まい方/営みの提案交流ブログ

豊洲市場の廃棄 築地の再生を No8築地市場の機能的建物は 世界的な建築遺産

【ブログその8】

  1. 築地市場建築物 その建築歴史的位置付け

中止となった設計案では, こうした発想が全くなく, 現行スーパーマーケットにおける売り場・駐車場の配置と同様の 《方形詰め込み型》となっている. 彼らには フラクタルという 形の機能性; 流れの幾何学’の建築教養が 全くない. フラクタル幾何でいう‘造形の機能性’という建築思想は 現代の世界の建築の主張でもあるのだ.

 

A; 築地市場建物は 現代建築のモダニズムの歴史と関わる建造物である.

Wikipediaより; モダニズム建築(モダニズムけんちく、英: Modern Architecture)は、機能的、合理的な造形理念に基づく建築である。産業革命以降の工業化社会を背景として19世紀末から新しい建築を求めるさまざまな試行錯誤が各国で行われ、1920年代に機能主義、合理主義の建築として成立した。19世紀以前の様式建築(歴史的な意匠)を否定し、工業生産による材料(鉄・コンクリート、ガラス)を用いて、それらの材料に特有の構造、表現をもつ。グロピウスのバウハウス校舎(1926年)、ミース・ファン・デル・ローエバルセロナ・パビリオン(1929年)、ル・コルビュジエサヴォア邸(1931年)などが代表的な作品である。」

この流れの建築は, 第一次世界大戦後のドイツのバウハウス運動から, 現代建築の大きな流れとなっている. 日本で建築されて見られるのは, ル・コルビュジエだけでなく, フランク・ロイド・ライト, アントニン・レーモンド等の建築があり, また 多くの日本人建築家が, 丹下健三等 国際的にも高く評価されている. 日本は 優れた現代建築のつくり手が輩出しているのである. 住居の日本建築では 吉村順三もいる.

これらの建築に見られるように, 現代では 機能主義という造形思想は フラクタル幾何を重視評価しているのである. その典型を 丹下健三の《懸垂線釣り天井・貝殻構造の代々木国立体育館》に見ることができる.

それを 今回のブログ論文『建築エコノミスト森山 築地市場増改築構想案』で教えられた. 住居でも, 教会・競技場等 人間の生活・活動ではなく, 築地市場建造物は, 生鮮市場という流通作業場建築物である. 築地市場建造物は, こうした産業建築において, その機能主義を鮮やかに示したフラクタル建築であり, 空港建築には従来から見られたが, 世界的にも貴重である. 転換・交換物流の作業場形状として, 世界的にも大変優れたlegend建築である.

 

B; フラクタル図形となった歴史的根拠

   築地市場建造物のこのフラクタル形状の成立は, 机上プランによってなされたのではない;そこには歴史の試行の中から, 選び抜かれた最適形状の積み上げによってなされたものである.ある

   築地市場は, 関東大震災という 大都市未曽有の災害に見舞われた首都再建のために, 後藤新平らが 心血を注いで成し遂げた復興の心臓部である.

   弧を描いている競り場や仲卸がある主な建物は, 旧国鉄東京市場駅が存在したことが大きな要因となっているが, それをトラック便主体の輸送形態に修正して, 多数ポートを機能的に接続して 現況の形態となった.

   こうした《円弧競り場・配流ポートの接続形態》をコアにした

   現況の築地市場建物設計は, 20世紀現代の建築思想である機能主義の歴史から見るならば, 住居ではない建築;物流建築における 世界的にも大変優れたlegend建築となっている. それが 今だ現役で利用されている. 産業建築物の世界遺産と言ってもいい. それくらいの優れものである.

   世界的にも有名となって 観光客も多数押し寄せるという築地市場は, 日本の多くに見られるような巨大な方形のスーパーマーケットであったならば, そのようにはならないだろう. そこに 時の条件にも適合し, 使い勝手に改良をして,歴史的に積み上がられて生成された最高機能図形たるフラクタルであるからである. フラクタル図形とは その造形は こうした改良行為の歴史的積み上げによってできあがる. この造形は, 過去・現在の市場労働の汗水の結晶といっていい.

 

C; 首都1000年構想の築地市場でありたい

既に建築されている豊洲市場建築物は 生鮮食品市場としては相応しくない. その危険性から使えない. そして 設計建築が, その機能性において 使えない(使い難いを超えて)最悪のゾンビ建築である. これを廃棄すること, 築地市場建築を 増改築すること. そのを設計コンペをやり直してほしい.

遷都江戸建設の太田道灌等から始まり, 関東大震災から東京市を復興させた後藤新平等の 都市構想の歴史を感じとってほしい. 400年の歴史から積み上げてきた都市建設の魂を継承してほしいのである.

築地の再構想増改築案は,

   ‘今後1000年発展する 1000万人都民の台所を預かる都構想’

である. そういう腹構えの事業でありたい.